前話 〜伊豆箱根鉄道大雄山線に乗車する〜

大山の玄関口、伊勢原に降り立つ

伊豆箱根鉄道大雄山線に乗車した後、路線バスと小田急の快速急行を乗り継いで伊勢原に到着した。ここが、この日巡る予定のもう一つの未乗路線、大山ケーブルカーが走る大山の玄関口である。伊勢原からはさらに路線バスに乗り換え、ケーブルカーの発着駅である大山ケーブル駅へ向かう。

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海老名や厚木の名前は域外の人でも馴染みがあると思うが、伊勢原はややマニアックな印象かもしれない。小田急小田原線では本厚木と秦野の間に位置する主要駅の一つで、江戸時代から大山参詣の玄関として栄えてきた歴史を持つ。駅周辺には大きな市街地も広がっている。

朝に乗車した特急「はこね」のように、町田や海老名に停車するタイプの特急は伊勢原にも停車する。また一般列車は全列車が停車し、新宿発の各駅停車は本厚木で折り返すものが多いものの、一部は日中でも伊勢原まで運行されている。さらに、小田急と千代田線との直通列車(特急を除く)の運転区間は伊勢原が西端で、東京メトロ16000系やJR東日本のE233系2000番台は、ここが運用の西限。千代田線へ直通する列車の中には、常磐線の取手や我孫子から伊勢原まで走り抜けるロングラン運用も存在している。

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伊勢原駅の改札を小田急線の1日全線フリー乗車券で出場し、最初に立ち寄ったのは券売機。ここで「丹沢・大山フリーパス(Aきっぷ)」を購入した。これから路線バスとケーブルカーに乗車するが、路線バスは往復740円、ケーブルカーは往復1,270円かかり、合計すると2,010円となる。一方で、小田急の各駅では発売されているこのきっぷは、これらがフリー区間となっており、よりお得に乗車することができる。例えば伊勢原発であれば1,750円で発売されており、都度運賃を支払うより安い。

「丹沢・大山フリーパス(Aきっぷ)」は、小田急全駅発で発売されており、発駅からフリー区間までの往復に加え、小田原線の本厚木-渋沢間、丹沢・大山エリアの路線バス、大山ケーブルがフリー区間として利用できる。大山ケーブルを利用しない場合は、さらに安いBきっぷも発売されており、目的地や使う交通手段によって、きっぷを選択できるようになっている。

はじめての神奈中バスで大山へ

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フリーきっぷを購入した後は、北口にある大山行きのバスのりばへ。ここから神奈川中央交通の路線バス、伊10系統大山ケーブル行きに乗車した。

「神奈中」の愛称で親しまれている神奈川中央交通は、神奈川県下最大のバス事業者で、小田急グループに属する。社名の通り、神奈川県の中央部を中心に、東京都の町田・多摩エリアでも路線バスを多数運行している。そもそも神奈川県中央~東部エリアで路線バスを使う機会はこれまでなく。神奈川中央交通への乗車もこれが初めてだった。

秋の行楽シーズンは、大山を訪れるハイキング客が多く、この地域の繁忙期の一つである。特に紅葉が見頃となる11月下旬ごろは最も賑わう。その時期には、このバスのりばに長い行列ができることも珍しくない。この日は10月下旬で、紅葉には少し早かったものの、ハイキングには最適な季節だったため、人出が多いと予想し、あえて午後に訪れる計画にしていた。しかし、この日は直前まで警報級の大雨という予報が出ており、その影響でハイキング客の姿は見当たらなかった。観光客が数人、沿線住民が数人といった程度の乗客を乗せ、バスは静かに伊勢原駅北口を発車した。

乗車記録 No.8

神奈川中央交通 [伊10]大山ケーブル行

伊勢原駅北口→大山ケーブル